シミュレータの機能は本当にすべて必要か?
ICLS講習などを通じて感じ始めていることの一つに、「今現在、利用されているシミュレーターの機能は、本当にすべて必要なのか?」ということがあります。以下、思ったことを少し書き連ねてみます。
機能はあるけど使いこなせていない
例えばICLSで利用するレールダル製のHeartSim。このシミュレータを利用することで、主に
- 心電図シミュレータと除細動
- 気道管理・気道閉塞と気管挿管
- 胸骨圧迫&人工呼吸の評価
- 脈拍の触診
- 静脈路の確保
といったトレーニングを行うことができます。
しかし、例えば「胸骨圧迫」という項目に関して言うなら、ICLSトレーニングの中ではやや重要度を下げて扱うことがあります。これは、受講者が既にBLSを学習していることもあり、またICLSにおける一連の「流れ」を理解して体を動かせるようにすることに重きを置いているから、と考えれば妥当な扱いとは言えます。
しかし一方で、そもそも胸骨圧迫の正確性をあまり評価しないのであれば、「その機能を取り除いて安価に作成されたシミュレータ」を利用する方が理にかなっているとも言えます(流通しているかどうかは別にして)。
そもそも、機能が知られていない可能性も
また、一方で「そもそも機能が知られていない」という可能性もあります。HeartSimシミュレータであれば、CPRのみの評価や心電図波形の読み取り学習用のプログラムもPC側に付与されていますが、果たしてこれらの機能まで使いこなしているケースはどの程度あるのでしょうか?少なくとも、普段の利用状況を見ている限りでは、こうした心電図学習やCPRトレーニングに利用されているケースはありません。
これはおそらく、そもそも機能の存在そのものが知られていない、ということも原因になっているように思います。また、学習者の手間を考えても、わざわざハートシム操作用のソフトと心電図学習用のソフトを一体化すること自体、無意味に思えてなりません。心電図の読み取りだけの安価なソフトを販売して手軽に入手できるようにし、学習効率を高める、といった利用方法も考えられるでしょう。
※1000円以下で購入できるiPhoneアプリのようなものもあるわけですし。
運営方法を考える必要
シミュレータ一台の値段が非常に高額である以上、不要な機能であれば削って少しでも安価な物を開発してもらう、あるいは買った以上はできる限り使いこなす、ということを肝に銘じておく必要がありそうです。
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